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交差座標のスターダスト β 第5話です。
こっから主人公のターン!
 深夜、まゆりは寝付けずにいた。今日1日、色々な事がありすぎて、目が冴えてしまったのだ。ソファの上で何度も寝返りをうつが、眠気は一向に来ない。眠れない代わりに、まゆりは今日あったことを思い出す。
 タイムマシンでラジ館の屋上に戻り、そこからラボに戻った事。ラボで食事をとり、一息ついてシャワーを浴び、眠りに就こうとしたこと。その後、至がラボにやってきて、鈴羽と再開を果たしたこと。至から、あの日から何が起きたかを聞かされ、世界の情勢が予想以上に酷い事になっていた事。
 そして、最後に鈴羽が言っていた言葉……。

『……まゆねえさん。ひょっとして私たちは……、帰ってきたんじゃなくて……、別の世界線に……、迷い込んだのかも…………』

 その言葉がどうしても気がかりだった。自分たちは、タイムマシンによって元の時代に戻ってきたのだと思っていた。しかし、話せば話すほど、噛み合わなくなる鈴羽と至の会話。同じだと思っていた世界が、ほんの少しずつズレていることが分かった。
 では、今この世界にいる自分たちは、何者なのだろうか……? 自分たちが、この世界の住人と思っていた。でも、それは間違いで、この世界の“まゆり”と“鈴羽”は、今もどこかにいるのだろうか?
 そんな事を考えていると、眠れなくなってしまった。まゆりは、すぐ横にいる鈴羽を見る。見た限り、眠っているのか起きているのかは分からない。しかし、何となく起きているような気がして、まゆりは声をかけた。
「……スズさん、起きてる?」
「……うん、起きてるよ」
 すぐに返事が聞こえてきた。どうやら鈴羽も眠れずにいたようだ。
「……ダルくん、疲れていたね」
「……うん」
 至はどんな時もおちゃらけて、周りが暗くなったり、空気が悪くならないよう気配りをしていた。
 鈴羽たちと再開した先程も、わざとふざけて場を明るくしようと努めた。しかし、至が無理をしているのがまゆりにも分かった。
 まゆりたちがタイムトラベルした日から、たった1人で仲間の安否を確認、タイムマシンを作ろうと奔走していたのだ。疲れていないわけがない。
 事実、至は奥の開発室に入ると、眠れない2人とは対照的にすぐに寝息が聞こえてきた。
「……きっと、大変だったんだね……」
「……うん」
 鈴羽は先程と同じように、気のない返事をする。そんな鈴羽が気になり、まゆりは声をかける。
「スズさん……?」
「………………」
 まゆりの声に、鈴羽はすぐには返事をしなかった。まゆりが心配になり、体を起こそうとすると、ようやく鈴羽は返事をした。
「まゆねえさん……」
「あ、うん。何……?」
 鈴羽の不意の問いかけに、まゆりは驚く。そんなまゆりに向かって、鈴羽は小さく呟いた。
「私は……、ひょっとして……、間違えたのかも……」
「…………え?」
 鈴羽の言葉の真意が掴めず、まゆりは思わず聞き返す。
「……間違えた?」
「……私さ、ちょっといい気になっていたのかもしれない。オペレーション・アークライトなんて言ってさ……。自分の考えた作戦が、未来を変えるかもしれない、なんて思って……」
「……スズさん」
「私、嬉しかったんだ。未来の父さんが、私と同じ作戦を考えていて。私の作戦が、父さんに認められたみたいで、舞い上がっていたんだ。だから、まゆねえさんを巻き込んでまで、作戦を成功させたかった……」
「………………」
「けど、蓋を開けてみたら、結果は散々だ。戻ってきたと思ったら、全然別の世界線で……。せっかく、私たちの世界線では、オカリンおじさんが復活したと思ったのに、こっちの世界線では、おじさんが全てを投げ出してしまって……。こんなんじゃ、シュタインズゲートを目指せる訳もない……」
「スズさん、それは……」
「結局、私がしたことは無駄だったんだ……。まゆねえさんを巻き込んで……、オカリンおじさんにも、迷惑をかけて……。元の世界線でも、きっと父さんは心配しているだろうに……。私のせいで、みんなを傷つけて―――」
「そんなことないよ、スズさん!」
 鈴羽が言い終える前に、まゆりはソファから起き上がる。
「私は、間違いだったなんて思っていない! だって、スズさんのおかげで、まゆしぃはあの日の私に、未来の自分の気持ちを伝えられたんだから! まゆしぃが……、未来の私が、どれだけ“鳳凰院凶真”の復活を願ったのか、それを、あの日の私に伝えることができたんだから……」
「まゆねえさん……」
「スズさんのした事は、無駄なんかじゃない。私の気持ちは、きっと、あの日のオカリンに、届いているよ。私は、そう信じている」
 そう言い、まゆりは鈴羽を優しく抱きしめる。
 鈴羽は一瞬驚いたようだったが、まゆりと同じにように、優しく抱き返した。
「…………ありがとう、まゆねえさん…………」
 しばらく、2人はそうやって抱き合う。しかし、しばらくすると、鈴羽は小さな寝息を立て始めた。
 精神的に疲れていたのだろう。彼女が深く寝入るまで、まゆりはそのまま鈴羽を抱きしめることにした。
 しかし、まゆりも不安がないわけではなかった。
 帰って来たと思ったら、別の世界線で、しかもこちらの世界では“鳳凰院凶真”は復活していないのだ。
 これから先、どうすれば良いのか……。そんな不安が、まゆりの脳裏に過ぎる。
「…………オカリン」
 まゆりは不安そうに、その名を呟いた……。





 カーテンの隙間から、木漏れ日が差し込んでくる。朝の弱い日差しでも、直接顔に当たると眩しいものだ。
 鈴羽は朝日の眩しさに、思わず顔をしかめる。
「ううん……」
 眠たそうな声を上げ、彼女はゆっくりと目を開いた。その瞬間、見慣れた顔が飛び込んできた。
 自分と同じように、ラボの床で寝ているまゆりの顔が目の前にあった。少々驚いたが、昨夜のことを鈴羽は思い出した。
 弱音を吐いた自分を、まゆりが抱きしめてくれたのだ。あの直後から記憶がない。恐らく、そのまま眠ってしまったのだろう。昨夜は情けないことを言ってしまったと、鈴羽は少々気恥ずかしい気持ちだった。それと同時に、昔の事を思い出す。
 母を亡くした夜、泣き続ける自分を、一晩中まゆりに抱きしめられた事を思い出した。まゆりに抱きしめられる感覚が蘇り、鈴羽は暖かい気持ちになる。
「ありがとう、まゆねえさん」
 鈴羽は小さくお礼を言う。まゆりはまだ眠っているようだった。鈴羽は彼女を起こさないように、注意深く体を起こした。
 背伸びをし、体をほぐし、ラボの中を見渡す。
「あれ?」
 見ると、開発室のカーテンが開いている。中で寝ていたはずの父の姿が見えなかった。
「どこか出かけたのかな?」
 鈴羽が疑問に思っていると、不意にラボの扉が開いた。
「お、起きた?」
「父さん。どこ行ってたの?」
「買い出し。ほれ、朝ごはん買ってきたお」
 そう言い、至は両手のコンビニ袋を鈴羽に見せる。
「コンビニ? 開いてるの?」
「アキバは封鎖されてるけど、外に出れば細々とやってるのだぜ」
「秋葉原の外? そんな遠くまで行ってくれたの!?」
「可愛い娘のためなら、それぐらい当然っしょ」
 そんな2人のやり取りを聞き、まゆりが目を覚ました。
「あ、スズさん、ダルくん。おはよ~」
「おはよ、まゆ氏。さあ、朝ごはんにするお」

「「「いただきまーす」」」
 3人は合掌し、声を上げる。
 至が買ってきたのはコンビニおにぎりにパン、生野菜のサラダ。茹で卵にヨーグルトとジュースという、至ってシンプルなもの。
 しかし、昨日はカップ麺やからあげ、バナナしか食べていない2人からすれば、新鮮なサラダや乳製品が食べられるのは何よりありがたかった。
 至だけなら、もっとガツンと腹に溜まるものを買っていただろうが、2人に合わせて食事を買ってきてくれたのがありがたかった。なにより、疲れた体でわざわざ秋葉原の外まで買いに行ってくれた心遣いが嬉しかった。2人は至の好意を噛み締める。
「美味し~い、ダルくん♪ 新鮮なお野菜久しぶりに食べた気がするよ~」
「ホント、まともな食事は久しぶりな気がする」
「んふふふー、2人とも、もっと褒めてくれても良いのだぜ」
 そんな軽口を叩きつつ、朝の穏やかな時間は過ぎていく。

「ごちそうさまでした」
「あ~、美味しかった♪」
 食事を終えた鈴羽とまゆりは、満足そうな顔をする。
「コンビニ飯にしてはなかなかだったお」
 そう言い、至はテーブルの上を片付け始める。普段の彼からは想像もできないほどの甲斐甲斐しさだ。
「あ、いいよダルくん。それぐらい私がするから」
「そう? じゃあ、まゆ氏お願い」
 まゆりはダルの代わりにテーブルを片付ける。
「ところで、鈴羽とまゆ氏はこれからどうするん?」
 至は一番気になっていることを鈴羽に聞いてみる。
「うん、確かめたいことがあるから、まずそれを確認してみるよ。この世界線がどういう状況か知っておきたいんだ」
「そうそう、昨日鈴羽が言ってた、別の世界線に迷い込んでしまったってやつ。あれ、本当なん?」
「うん。父さんとも話したけど、私のいた世界線と、こっちの世界線では、私たちと比屋定さんとの接点が大きく違うみたいなんだ。昨日も話したけど、こっちの世界では、私と父さんは比屋定さんとあまり接点はなかったみたいだけど、私のいた世界では比屋定さんとは来日前からおじさんに内緒で、タイムマシンの研究をしていたんだ。日本に来てからは、毎日みたいにラボに来て、父さんと一緒にタイムリープマシンの開発をしていたよ」
「う~ん……」
 至は鈴羽の説明に納得いかないのか、腕組みをして唸っている。
「でも、それって変じゃね? 前にオカリンから聞かせてもらってけど……、アト……、アタ……、何だっけ?」
「アトラクタフィールド理論?」
「そうそう、それ。その、なんとか理論によると、世界は常に一つで、SFみたいなパラレルワールドはないって言ってたお」
「うん、私もてっきりそうだと思ってたんだけど……」
 至にそう言われ、鈴羽も返答に困っているようだった。
「アトラクタフィールド理論によると、世界は常に一つなんだ。可能性の幅によっては、他の世界線へ移動することはあるんだけど、その度に世界は再構築されるから並行世界はないって言われているんだ」
「んー、言ってることが良く分からんお……」
「ええと、何て言ったらいいのかな……」
 至に上手く説明できず、鈴羽も困惑する。
「そうだ、父さんこれ借りるよ」
 鈴羽はテーブルの上の輪ゴムを取ると、ハサミでそれを切る。
「父さん、輪ゴムの端を持って軽く伸ばしてみて」
「こう?」
 鈴羽にそう言われ、至は輪ゴムの端を持ちピンと張った。伸ばされた輪ゴムは、一本の糸のように張りつめる。
「そのまま持ってて」
 そうして張られた輪ゴムを、鈴羽は指で軽く弾く。輪ゴムは振動し、あたかも弦のように上下に振動する。
「この振幅の幅が世界の可能性。一見、この幅の分だけ世界がいくつもあるように見えるんだけど、その先では世界は収束して一つになる。これをアトラクタフィールド―――世界線収束範囲―――っていうんだ」
「ふむふむ」
「アトラクタフィールド内ではいくつもの世界の可能性があって、これを世界線と呼ぶ。さっき説明したように、世界線は無数にあるんだけど、最終的に結果は一つに収束しちゃうんだ。オカリンおじさんが経験したα世界線みたいに……」
 鈴羽はちらりとまゆりを見る。まゆりは洗い物をしており、こちらの話は聞いていないようだった。
 鈴羽は声を潜め、至に話しかける。
「……α世界線では、いくらオカリンおじさんが世界線を変えても、まゆねえさんの死という結果は変えられなかった……。だから、おじさんは世界線をいくつもまたいで、この世界、β世界線へ移動した」
 鈴羽の説明に、至は頷く。
「けど、私たちがいるβ世界線も、結局はこの世界の収束からは逃れられないんだ」
 鈴羽は先程と同じようにもう一つ輪ゴムをとると、今度は自分でゴムを弾く。
「β世界線も色んな可能性があるんだけど、結局は一つの結果に収束する。第3次世界大戦という結果にね……」
「うぅむ……」
 鈴羽は至から輪ゴムをとると、自分の持っている輪ゴムと平行になるよう、一緒にテーブルに並べる。
「だから、私たちが目指すのはα世界線でもβ世界線でもない世界。アトラクタフィールド同士の狭間にある境界面上の世界……」
 そうして、2つの輪ゴムの間を指差す。
「それが、“シュタインズゲート”」
 鈴羽の指先を見つめ、感慨深く至が口を開く。
「ふーむ。その世界を目指すために、未来の僕はタイムマシンを作り、鈴羽はこの時代に来たわけね」
「うん。シュタインズゲートにたどり着くのが、私たちの最終目標」
 父に説明することで、鈴羽は改めて自分の目的を再確認する。
「それで、最初の話に戻るけど、平行世界がないって言ってたこと。あれは、私も予想外なんだ。アトラクタフィールド理論によると、世界は常に一つで、平行世界はないって言われているんだ。事実、α世界線でおじさんがDメールを送った時は、世界線は再構築されて、新たな世界に変わったって言ってた」
「その理屈で言えば、別々の世界線の僕らがこうして同時にいるのは説明がつかないお」
「そうなんだよね……。今までの理論では説明ができないんだ……」
 鈴羽はしばらく思案してから、再び口を開いた。
「これは仮説なんだけど、世界線が再構築されても、実は元の世界線は消滅せずに、可能性としては存在しているんじゃないかな?」
「んー、どいうこと?」
「今までのアトラクタフィールド理論では、世界線が再構築された時点で元の世界線は存在しなくなる。要するに、“なかったこと”になってしまうんだ。でも、本当に綺麗さっぱり存在が消滅したら、オカリンおじさんの記憶からも消滅するはずじゃないのかな?」
「そう言えば、オカリンだけは前の世界の記憶を持っているお」
「そう、“リーディング・シュタイナー”。私たちは前の世界線の記憶を持ち越せないけど、おじさんだけは、何故かその記憶を持ち越せる。いや……、おじさんだけじゃないのかもしれない……」
「え……?」
「ほら、クリスマスパーティーの時、おじさんと中瀬さんが途中で倒れたよね。その後、病院に行ったけど、比屋定さんが言ってた。2人の症状は、新型脳炎かもしれないって。でも、その新型脳炎こそ、リーディング・シュタイナーのことじゃないかな?」
「ええ? そうなん!?」
「確証はないけどね。前におじさんに聞いたけど、リーディング・シュタイナーが起きた時は、激しい頭痛や目眩に襲われるって。あの時の2人の症状、それにそっくりなんだよ」
「そう言えば、そんな事言ってた気がするお」
「それに、新型脳炎患者の症状の、記憶の錯乱・夢と現実の混同っていうのも、本当は前の世界線の記憶じゃないかな」
「う~む、そう言われれば言われるほど、当てはまってる気がする」
「そうなんだよね。多分、新型脳炎っていうのは、不完全なリーディング・シュタイナーが発生したことだと思う。オカリンおじさんが持っているなら、他の人間が持っていてもおかしくはないよ。とにかく、リーディング・シュタイナーが存在する以上、前の世界線が消滅したとは言い切れない。少なくとも、オカリンおじさんの記憶には、存在しているからね」
 鈴羽は自身の考えを確信する。
「いずれは一つの結果に収束する世界だとしても、そこに至るまでは複数の世界が同時に存在しているかもしれない。事実、私たちは今こうして同時に存在しているからね」
「うんうん、なるほど」
「2人が難しい話をしていて、まゆしぃはついて行けないのです」
 皿洗いを終えたまゆりが戻ってきたが、途中からでは話についてこれなかったようだ。目を白黒して困惑している。
「まあ、小難しい理屈は置いといて、そのなんとか理論が間違ってて良かったじゃん」
「良かった?」
「うん。だってさ、その理論が間違ってたから、鈴羽とまゆ氏は、ここにいるわけっしょ?」
「あ……」
「僕さ、あの日タイムマシンが破壊されて、もう2度と、2人には会えないんだって、思ったからさ……。例え、違う世界線でも、こうして2人と出会えて本当に良かった……。違う世界線の住人でもさ、鈴羽は鈴羽だし、まゆ氏はまゆ氏じゃん……?」
「父さん……」
「ダルくん……」
 父のその言葉に、鈴羽は目頭が熱くなった。そっと涙を拭く鈴羽の肩を、まゆりはそっと抱く……。
「さあ、元気出すお!」
 至は鈴羽の肩を力強く叩く。そんな父に、鈴羽は笑顔で答える。
「うん。ありがとう、父さん」
 昨夜は弱音を吐いていた鈴羽だったが、まゆりと至の励ましで、彼女はいつものバイタリティを取り戻す。そんな娘に至は声をかけた。
「それじゃあ、そろそろ動こうかな。そう言えば、鈴羽は確かめたいことがあるんだっけ?」
「うん、まずはラジ館に行ってみようと思う。確かめたいことがあるんだ」


 ※


 30分後、3人の姿はラジ館の屋上にあった。
 前の日と同じように、鈴羽とまゆりが乗ってきたタイムマシンは屋上に鎮座している。
 鈴羽は、そのタイムマシンの周囲を隈なく調べている。彼女は周囲に散らばったタイムマシンと思われる残骸をまじまじと見つめている。
(やっぱり、どうみてみこれはタイムマシンの部品。でも……)
「ねえ、父さん。父さんは、一度ここに来たの?」
「うん。ここでの爆発がラボからも見えたからね。ほとぼりが冷めた頃ここに来たら、タイムマシンがバラバラになっていたんだ……」
「その時の様子は今と同じだった?」
「多分ね。そんな変わった様子はないと思うけど」
「……例えば、ここから何か持ち去られたりとかは、ない……?」
「どうかなぁ……。僕が来た時は、バラバラになったタイムマシンの部品ぐらいで、他には何もなかったけど。まあ、僕が来る前に何かあったかどうかは分からんけど」
「……そう」
 それだけ確認すると、鈴羽は再び床に目を向ける。
(やっぱり、どう考えても部品が足りない……。持ち去られた……? でも、それなら、全部持っていくはず……)
 鈴羽は昨日ここに来た時に感じた、言い知れぬ不安を覚える。自分の考えた予想が的中しそうで怖かった。父に励ましてもらい、あれほど気力に満ちていた体が嘘のように動かなくなる……。
(……まさか。……まさか…………)
 鈴羽は言いようのない不安に襲われ、気分が悪くなる。
「スズさん……?」
 心配したまゆりが声をかけてきた。それでも、鈴羽の顔色は一向に良くならない。
 その時―――。

 不意に、聞き慣れた電磁音が聞こえる。

「…………え?」
 気がつくと、屋上は青白い燐光に包まれていた。
「こ、これは!」
 思わず、鈴羽は後ずさる。
 知っている、この光景。何度も見た、この現象は―――。
 屋上はさらに強い光に包まれる。
「う、うぉおおおお!? な、なんか、この光景前にも見たことあるような!」
 至が目の前の光景に声を上げる。
「まさか……、本当に……?」
 鈴羽が信じられないような声を上げる。その時、まゆりが目の前の光に近づく。
「あっ! 危ない、まゆねえさん!」
 鈴羽の静止も聞かず、まゆりは前に出る。
「……オカリン?」
 青白い燐光はさらに強くなり、屋上全体が光に包まれる。光が強くなるにつれ、電磁音も激しくなる。屋上が、光と音により小刻みに振動する。
 やがて、光の中に見覚えのあるシルエットが姿を現す。まゆりはその影に向かって、力強く叫んだ。
「オカリンッ!!」
 瞬間、屋上は目も眩むような光に包まれる。そして―――。





































 機体が激しく揺られる。未知の時空移動を続けたことによる時空振により、試作機であるタイムマシンが悲鳴を上げる。
 そんな機体に向け、俺は声を上げた。
「頼むぞ! 持ちこたえてくれ、『FG-C193』!」
 2025年から跳躍し、すでに半日以上時空間をさまよっている。試作機にすぎないC-193はすでに限界に達している。
 機体のあちこちからはボディが軋む音が聞こえ、不快な警告音がさっきから鳴り止まない。しかし、こんな所で終わるわけにはいかない。
「頼むぞ! あと少しなんだ!」
 数時間前。ついにC-193に搭載しているカー・ブラックホール・トレーサーが、まゆりたちを乗せたタイムマシンの座標を捉えた。
 しかし、彼女たちを乗せたタイムマシンは想定をはるかに上回る動きで時空間をさまよっていた。試作機にすぎない、俺のタイムマシンはそれを追跡するだけで精一杯だった。
 だが、先程から様子が変わった。まゆりたちを乗せたタイムマシンの動きが鈍くなったと思ったら、時空間からその信号が消失したのだ。
 恐らく、どこかで通常空間に脱出したのだ。俺は現在、まゆりたちが消失したポイントへ向かっている。しかし、機体の限界が近づいている今、まゆりたちに追いつけるかは五分五分だった。
「頑張れ、C-193! 力を貸してくれ、紅莉栖!!」
Cristinaの頭文字をとった機体に向け、俺はあらん限りの声を上げる。
 まゆりたちの消失したポイントへはもうすぐだった。
 その時、警告音とは別の音が機内に流れる。
「これは……、通常空間へ出るための合図……。もう少しだ!」
 シートにしがみつき、衝撃に備える。さらに激しい振動が機体を襲ってきた。
「くぅ!!」
 機内が青白い燐光に包まれる。そして―――。

 ズズン!!

 激しい衝撃とともに、振動が収まった。シートに持たれていた俺は、ゆっくりと体を起こす。
「着いたのか……?」
 機体の警告は、すでに鳴りやんでいた。俺は急いでシートベルトを外し、シートから立ち上がる。
 コックピットのコンソールを確認するが、故障しているのか何も写っていなかった。
「とにかく、外に出るか……」
 俺はハッチのスイッチを押す。機内の気密が解除され、ハッチの隙間から空気が抜ける音がする。やがて、ハッチが音を立てて開いていく。
 俺はハッチからタラップへと出た。周囲を確認しようと思ったが、辺りはまだ青白い燐光に包まれ、周りが良く見えなかった。その時―――。

「……オカリン」

「……え?」
 懐かしい、声が聞こえる……。
 俺は声の聞こえた方を見る……。
 そこには……。懐かしい……、とても懐かしい……、幼馴染の姿があった……。
「……まゆり」
 俺は足を前に出す。
「オカリンッ!!」
 不意に、まゆりが駆け出した。
「まゆりっ!!」
 その姿を見て、俺もタラップを駆け下りた。
「オカリン!!」
 そして、まゆりが、俺の胸の中に飛び込んできた。
「オカリン、迎えに来てくれたんだね」
「まゆりっ! よく無事で……」
 変わらない……。14年前のあの日と、何一つ変わらない、俺の人質……。
 俺は、腕の中にいるまゆりをそっと包む……。
「……すまなかった。遅くなって、本当にすまなかった……」
「そんなことないよ……。オカリンこそ、ごめんね……。私たちを追いかけるために、頑張ったんだよね……」
 そうして、俺たちは、14年ぶりの再開を果たした……。
 14年で、俺は年をとり……。まゆりたちは、何一つ、変わらない……。
 それでも、彼女たちが、俺の大切な仲間たちであることは、変わらなかった……。
「ありがとう、オカリン。迎えに来てくれて」
「ああ……。すまなかったな、まゆり。遅くなって」
 そうして俺たちは見つめあった。
 本当に、変わらない。俺の人質。
「えへ、オカリンは少しおじさんっぽくなったね」
「大人になったと言ってくれ」
 そうして、俺たちは14年ぶりに、笑いあった。やがて、俺は鈴羽にも声をかける。
「すまなかったな、鈴羽。遅くなって」
「とんでもない。本当に来てくれるとは、思わなかったから」
「ダルに頼まれたからな。鈴羽を頼むって」
「そっか。未来でも、私のこと心配してくれてるんだ」
 鈴羽はそう言い、嬉しそうに笑った。
「なになに? オカリン、未来から来たん?」
 そう言って、若かりし頃のダルが近づいてきた。
「ダル……、がここにいるってことは、ここは2010年頃か?」
「今は2011年だお」
「2011年……? ということは……」
 辺りを見回すと、屋上はボロボロだった。明らかにここで戦闘があった形跡だ。
「テロの後か。ということは、鈴羽たちは偶然元の時代に戻ってこれたのか」
「うん、そのことなんだけど……」
 何故か鈴羽は少し言いよどむ。そんな鈴羽を、俺は疑問に思う。すると、まゆりが話しかけてきた。
「ねえ、オカリンは何年後の未来からきたの?」
「ああ、俺は14年後。2025年の未来からやってきたんだ」
「ええ~! そんなに未来から!? じゃあ、オカリンはすっかりおじさんだね~」
「本当だ、よく見るとちょっと老けてる」
「ドンマイ、オカリン。最近は、ナイスミドルが好きな女子も多いお」
 3人は、ここぞとばかりに俺の年齢を攻撃してくる。
「あのなあ……、これでもラボの中じゃ変わらないって言われているんだぞ」
「自作自演、乙」
「黙れ! このスーパーハカー! 言っておくが、未来のお前だってそうとう老けているぞ」
「未来の僕は可愛い嫁さんと、愛らしい娘に囲まれる勝ち組なのだぜ」
「ぐっ……、言い返すことができない……」
 そんなことを言い、俺たちは14年ぶりの談笑をする。
「ねえ、おじさん。私が未来から受け取ったムービーメールは、おじさんが作ったの?」
「ああ。この14年、俺たちが考えたシュタインズゲートへ到達する方法。それを、お前の携帯に送ったんだ。オペレーション・アークライトもオペレーション・アルタイルも、その為のミッションだ」
「オペレーション・アルタイル?」
「お前たちを、救出するミッションだ。鈴羽やまゆりの主観では、ほとんど時間が経っていないだろうが、俺たちの世界では14年間も行方不明だからな」
「そうなんだ、ありがとうオカリンおじさん。でも、すごいね。私のいた2036年ですら、タイムマシンを追跡する機能なんてなかったよ」
「お前を救出するために、ダルが開発した新機能だからな。やっぱり、お前の父親はすごいよ」
「鈴羽鈴羽、パパありがとう~って、抱きついてもかまわんのだぜ」
「はいはい、ありがとう父さん」
「そっか~、オカリンもダルくんもまゆしぃたちの為に頑張ってくれたんだね。ありがとう~」
「まゆりは俺の人質だからな。いつまでも、放っておくわけにはいかないだろ?」
 そう言い、俺たちは笑い合う。
「しかし、まゆりたちが戻ってきたのが、ほぼ同じ時間軸とはな。これから、あえて未来に連れて行く必要があるのか……。いや、おかしいな……。それなら、俺たちの時は、どうしてまゆりたちは戻ってこなかったんだ……?」
 そんな風に俺が腕組みをしていると、鈴羽が声をかけてきた。
「……オカリンおじさん、そのことなんだけど……」
「ん? どうした」
「……実は、今私たちがいるこの世界線は、オカリンおじさんや私たちがいた世界線じゃあ、ないかもしれないんだ……」
「…………何だって?」
 鈴羽のその言葉に、俺は耳を疑う。
 急いでポケットからスマホを取り出し、あるアプリを起動させる。
「おじさん、それは?」
「これは、ダイバージェンスメーターだ。α世界線の俺が作ったものを改良し、スマホに組み込んでみた」
 スマホの画面に、7桁の数字が並んでいる。それらの数値は先程から変化を繰り返しているが、しばらくするとある数値を割り出した。
「世界線変動率1.143688……。俺のいた世界線とズレが生じている……」
 俺やまゆりたちが元々いた世界線は、世界線変動率1.129954。大きな差ではないが、確かにズレが生じている。
「どういうことだ……? アトラクタフィールド理論では、平行世界は存在しないはず……」
 2020年に提唱されたアトラクタフィールド理論では、世界は常に一つで、平行世界は存在しないと言われている。
 実際、俺が経験したα世界線でもDメールを何度も送ったが、その度に世界線は再構築されていた。
「私もそうだと思っていたんだけど……。もしかしたら、理論自体が不十分、あるいは間違いだったのかも」
「そう……、なのか……?」
 確かに理論が間違いだったり、後の世に修正されるなんてことは、科学の世界では常識だ。しかし、問題はそんなことじゃなかった……。
「……ここが俺たちのいた世界の並行世界だとして……、この世界線のお前たちは、どこにいるんだ……?」
「………………」
 俺の質問に鈴羽は答えない。ただ、気まずそうな顔をして、黙っているだけだ。
「そうなんだよね。ここにいる鈴羽とまゆ氏はオカリンの世界線から来たらしいんだわ。でも、こっちの世界の2人は、まだ見つかっていないんだよね……」
「なん……、だって……?」
 こちらの世界線のまゆりと鈴羽は、見つかっていない……?
 そんな……、まさか……。俺の脳裏に、あの時のことが蘇る。
 まゆりと鈴羽の乗っていたタイムマシンが、目の前で破壊されたあの時……。
「……ダル。こっちの世界の俺は、今どこにいるんだ……?」
「それが、ずっと着信拒否になって出ないんだよね……」
「着信拒否……?」
「おじさん。こっちの世界のオカリンおじさんは、もうタイムマシンを作る気はないんだって……。まゆねえさんや私が行方不明だって聞いても、立ち直る気力もないらしいんだ……」
「なん……、だと……?」
 そんな……。俺はあの後、タイムリープマシンで過去へ跳び、2人を無事に見送った。なのに、この世界線の俺は、それをしなかったのか……?
「比屋定さんはどうしたんだ? 俺はタイムマシンが破壊された後、ダルと比屋定さんと協力して、タイムリープマシンを作りそれを防いだはずだ」
「……真帆たんはここにはいないお。ストラトフォーに捕まったオカリンを助けた後、ずっと行方不明なんだよね……」
「な、に……?」
 比屋定さんが行方不明? 俺がストラトフォーに捕まった? どちらも俺の知らないことだ。
「おじさん。この世界は私たちのいた世界線と違って、比屋定さんは父さんとタイムマシンの開発をしていないんだ。来日はしているんだけど、おじさん以外とは誰とも会っていないみたいなんだ」
「……俺たちのいた世界線とは、だいぶ状況が違うということか……」
 2人を追いかけて、まさかこんなことになるとは……。オペレーション・アルタイルの想定外のことが起こっている。
「なあ、オカリン。オカリンは何か知っとる? 2人が今どこにいるか?」
「そ……、れは……」
 あの時のことが脳裏に浮かび、咄嗟には答えられなかった。いや、俺のいた世界線とは違う世界なんだ。ひょっとしたら、どこかで生きていて……。
「おじさん、ここ見て」
「……え?」
 鈴羽が指差す先。そこには、かつて見た光景が……。
「な……」
 破壊された、タイムマシンの残骸。そして、どう考えても足りないパーツ……。
 それは、あの時俺が見た光景と全く同じだった……。
「……おじさん、これはひょっとして……」
 鈴羽は、すでに察しているようだった。
「……………………」
 だが俺は答えられなかった。事実を突きつけるのが、あまりにも残酷で……。
「なあ、オカリンは何か知っているんじゃね?」
 ダルは再び聞いてくる。大事な娘のこと、当然のことだ。しかし……。
「ダル……」
 それでも、ずっと黙っているわけにもいかず、俺は口を開くしかなかった。
「……俺がいた世界では、2人の乗ったタイムマシンが時間跳躍する寸前、ロケットランチャーの攻撃を受けたんだ……」
 俺がそう言った瞬間、ダルの顔が青くなる。
「タイムマシンは破壊されて……。マシンの残骸は残っていたけど、全部じゃなくて……。どれだけ探しても、鈴羽もまゆりも、死体が見つからなかったんだ……。体の一部さえ、残ってなかった……。まるで、跡形もなく消えたみたいに……」
「……っ」
 俺がそう言った瞬間、ダルは膝から崩れ落ちた。
「ちくしょう! ちくしょう、ちくしょうっっ!!」
 ダルが、拳で床を激しく叩いた。
「そんなバカな事ってあるのかよ!? あるのかよぉぉーーっ!」
 ダルは拳から血が出るのも構わず、床を殴り続ける
「ダルくん、やめて!」
 たまらず、まゆりが止めに入る。ダルはようやく殴るのを止めたが、その場で嗚咽する。
「うううぅ…………。うぁああああ……」
 ダルの慟哭が、ラジ館の屋上に響く。
「……鈴羽。2人は一体、どうなったと思う……?」
 自分自身、何となく想像はついていた。それでも、俺は聞かずにはいられなかった。
「……多分、不完全な形でタイムトラベルしたんだと思う……。でも、タイムマシンなしで無事に時間跳躍ができるはずもない……。死んでしまったか……、別の時代に放り出されたか……、あるいは……、時空間の中を、永遠に漂流するか……」
「そんな……」
 鈴羽のその言葉に、まゆりが絶句する。
 自分たちが無事なのに、この世界のまゆりと鈴羽は世界から消失してしまった。
「ちくしょう……、ちくしょうおお…………」
 愛娘を失い、ダルの慟哭は止むことはなかった……。
「……おじさん。ここは……、終わってしまった、世界線なんだ……」
「……終わってしまった世界……?」
 俺が口を開くと、鈴羽は小さくうなずく。
「この世界線じゃ、母さんは行方不明なんだ……」
「……由季さんが」
「母さんだけじゃない……。中瀬さんも、安否不明だし、比屋定さんは行方不明……」
「……比屋定さん」
「第3次世界大戦は避けられないし、肝心要のオカリンおじさんは、全てを投げ出して、諦めてしまっている……」
「………………」
「もう、この世界がシュタインズゲートを目指すことはないんだ……」
 鈴羽自身、諦めてしまったようで、いつもの力強さは感じられなかった。
 あれだけバイタリティに満ちていて彼女の目は、今は光を失っていた……。
 まゆりも悲しそうにうつむき、ダルは未だ立ち上がれないでいた……。
 全てが終わってしまった世界……。
 この世界線は、俺には関係ない。
 ここにいる、まゆりと鈴羽をタイムマシンで連れ帰れば、オペレーション・アルタイルは完遂となる。
 俺はそこで、シュタインズゲートを目指せばいい。
 ……そう。2人を連れて帰れば、紅莉栖もまゆりも死なない、理想の世界がそこに―――。

「……終わりじゃない」

「……え?」
 鈴羽が不思議そうに、こちらを見て呟く。
 しかし、俺はもう一度繰り返す。
「……終わってなんかいない」
 そして、俺はあの高笑いを再び上げる。
「フッ……」
「…………おじさん?」
「フフフ―――」
「…………オカリン?」
「クククク……」
「……オ、オカ……、リン……?」
「フゥーハハハハハッ!!!」
 そして、俺は大袈裟に白衣を翻して宣言する。
「全てを諦めた? 終わった世界? 笑止!! この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真の手に掛かれば、世界の支配構造を覆す事など造作もない事!!」
「オ、オカリンおじさん……?」
「オカリン!!」
 鳳凰院凶真を初めて見る鈴羽は困惑している。しかし、その意味を知っているまゆりは、希望に満ちた目で俺を見つめていた。
「ダル! 我がラボが誇るスーパーハッカー、ラボメンナンバー003、橋田至よ!! お前は、この程度で膝をつく男か!?」
「オ、オカリン……」
「俺の知っているお前は、この程度で心が折れる男ではないぞ!」
「おじさん……」
「例え、普段はふざけていても、お前は、誰よりも芯の強い男だろう! 俺の知っているお前は、俺が下らない事を口にした時、殴ってでも俺の目を覚ましてくれたぞ!!」
「と、父さんが!?」
「……僕が、オカリンを……?」
「ああ、お前はこの程度挫ける男じゃない。鈴羽が救えなかった? だったら! タイムマシンを作って、お前が助けに行けばいいだろう!!」
「…………っ!」
「お前は今から14年後、人類初のタイムマシンを作る偉大な男だ。この程度で膝を折るなど、この鳳凰院凶真が許さん!!」
 俺の気持ちの全てをぶつける。膝をついていたダルは、そんな俺の気持ちに応えるよう、立ち上がる。
「……僕は、タイムマシン……、作るよ」
「ダル……」
「作るしか、ないだろ。これで終わりに出来るかよ」
 ダルは立ち上がる。愛しい娘を救うため、タイムマシンを作ることを決意する。
 そんなダルを見て、俺も覚悟を決めた。
「ではこれより! オペレーション・アルタイルに、新たな任務を追加する!!」
「……新たな任務? おじさん、一体……?」
「新たな任務、それはストラトフォーに捕らえられた比屋定真帆を救出すること! そして、この世界線の俺の目を覚まし、シュタインズゲートを目指すことだ!!」
「真帆さんの救出……?」
「ああ、俺を救出した後行方不明になったということは、恐らく彼女もストラトフォーに捕まっているだろう。敵からすれば、タイムマシンを開発する俺の確保は最優先事項だろう。比屋定さんを捕まえて、俺の所在を聞き出そうとするはずだ。彼女の性格を考えれば、自ら囮になっている事も考えられる」
「でも、比屋定さんがどこにいるかも分からないんだよ。一体、どうやって……」
「東京電機大学だ」
「え?」
「2025年には、ストラトフォーのアジトが電機大の地下にあったことが判明している。2011年現在、奴らのアジトはそこにあるはずだ」
「なら、真帆たんを助けるために、行くしかないっしょ」
「ああ、タイムマシンの開発に、彼女の存在は必要不可欠だ。いや、例えそうじゃなかったとしても、大切な仲間を放ってはおけない」
 俺の言葉に、3人は頷く。
「真帆さんは、まゆしぃの大事な友達だもん。必ず助けるよ」
「比屋定さんは、タイムマシンの開発で本当にお世話になったからね。ううん、それ抜きにしても、私もまゆねえさんの気持ちと同じだよ」
「そういうこと。真帆たんとは、牧瀬氏のPCを持って来た時からの縁だからね。それを抜きにしても、あれほどの合法ロリを助けないなんて言ったら、世のオタクたちに合わせる顔がないお!」
「父さん!」
「サーセン」
 ダルもようやくいつもの調子が戻ってきたようだ。鈴羽とダルのやり取りを見て、俺は思わず苦笑する。
 そして宣言する。この世界線での、戦いを決意するため。
「ではこれより、新たなオペレーションを開始する! なお、作戦名は―――」

「『オペレーション・スターダスト』とする!!」

2016.09.17 Sat l シュタインズゲート l コメント (0) トラックバック (0) l top

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