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交差座標のスターダスト β 第2話です。
今回からメインの話しです、よろしくお願いします。

 ……痛い。

 初めに感じた感覚はそれだった。
 手足が痛い。体が痛い。全身が痛い。
 とにかく痛みが先だった。鈍った意識を真っ先に呼び覚ましたのは、全身から発せられる、『痛み』という感覚。
 これが優しい木漏れ日や、心地の良い音楽だったらどれほど良かっただろうか。しかし、これが現実。
 手足を動かそうとするも、痛みのため満足に動かすこともできない。目蓋さえ痛みのため、今はとてつもなく重く感じる。
 重たい目蓋をこじ開けるように、彼女はゆっくり目を開いた。
「………………」
 そこは暗く、冷たかった。
 硬く、冷たいフロアにうつ伏せに倒れている自分。無機質で、殺風景な一室に無造作に転がされていた。
 最初は脳が働かず、現状を把握するのにしばらく時間がかかった。しかし、やがて周囲の状況を理解し始める。
(…………そうか。私、捕まったんだっけ…………)
 現状を把握するに従い、比屋定真帆は残酷な現実を理解する。
 彼女は捕えられていた。正確な時間は分からないが、おそらく捕まって丸一日以上は経過しているだろう。捕えられて早々に尋問を受け、ここに放り込まれたのだった。その時の様子を思い出し、再び傷が痛み出す。
 自ら敵に捕まったとはいえ、このような仕打ちを受ける側としては辛いものだった。
(……私、うまくできたのかな…………)
 そして彼女は思い出す。身を挺して庇った彼のことを。
(……岡部さん……)










「ああぁあああああ!!!」
 かがりの持っているマシンガンが火を噴いた。凄まじい音を出し、周囲の人間と物を破壊しながら、彼女は基地の中を突き進む。
「くそっ、化物め!!」
 時折物陰から敵が姿を現し、こちらを牽制してくる。そのうちの何発かはかがりの肩や足に命中するが彼女は全く意に介さず、容赦なく敵を打ち抜く。
 マシンガンの掃射を受け、何人もの人間が血を吹き出しながら倒れていく。
「きゃあああアアア!!」
 そのあまりに凄惨な光景に、真帆は思わず叫び声を上げる。だが、彼女の叫び声などかがりは意に介さない。
「早く来て! 置いていくよ!」
「…………うぅ」
 かがりにそう言われ、真帆は必死で彼女の後を追いかける。

 しばらく進むと、突き当りに部屋が見えてきた。
「かがりさん、あの部屋!」
 ここに来る途中、捕まえた敵に聞き出した部屋だ。かがりはドアに向かって銃を撃ち、強引に蹴破った。
 その部屋に、岡部倫太郎の姿はあった。
「岡部さん!!」
 椅子に縛られて気を失っている倫太郎に、真帆は駆け寄る。
「岡部さん、しっかりして岡部さん!」
 倫太郎の顔を覗きながら、真帆は声をかける。こちらの呼びかけに目を閉じたままだが、息をしているのを確認すると真帆は胸を撫で下ろした。
「良かった……」
 今の今まで生死すら不明だったが、倫太郎の生存を確認し真帆の顔に安堵の表情が見える。
「死んではいないみたいだね。私が抱えていく」
 そう言うと、かがりは自身の体より大きな倫太朗を軽々と担ぎ肩に乗せる。彼女の肉体の逞しさに、真帆は改めて驚かされる。
 かがりは倫太朗を担ぎ上げたまま、苦もなく今来た道を引き返す。倫太郎さえ救出できればこんな所に用はない。真帆も彼女の後をついていく。
 部屋を出る際、真帆はもう一度室内を見渡す。そこに、ここにいたであろう、レスキネンの姿はもうない。恐らく、ここを襲撃した最中に脱出したのだろう。主犯格を逃がしたのは口惜しいが、倫太郎は無事に救出できたのだ。真帆はそれ以上振り返ることなく、その場を後にした。

「かがりさん、どうやって脱出するの!?」
 真帆はかがりに、当然の疑問を投げかける。ここに来るときは2人でもなんとかなったが、大の男一人を抱えたまま逃げ続けるのは不可能だ。
「外に出たら車を奪う! ついて来て!」
 かがりは倫太朗を担いだまま走り続ける。身一つで走る真帆の方が着いていくのがやっとだ。尋常ではない鍛え方に、真帆は再び驚かされる。
 やがて、2人は地下から脱出する。かがりは周囲を見渡すと、すぐ近くに止めてあるバンに近づく。幸いロックは掛かっていない。後部座先を開くと、かがりはその中に倫太朗を放り込んだ。
「脱出する、乗って!」
「え、ええ!」
 かがりに促され、真帆はすぐさま車に飛び乗る。真帆が車に乗り込むのを確認すると、かがりは運転席の扉を開いた。しかし、次の瞬間銃声が響いた。
「うっ!!」
 車に乗りかけたかがりが、急にうずくまる。
「え……?」
 驚いた真帆がかがりをみると、ライダースーツの腹部から真っ赤な血が流れていた。
「か、かがりさん!」
「くそ……!」
 かがりは後ろを振り返ると、マシンガンを連射する。
「ぐあ!」
 少し離れた場所で男が悲鳴を上げ、倒れるのが見えた。かがりを撃った人間なのだろう。男はそのまま立ち上がることはなかった。
 しかし、当のかがりも、うずくまったまま立ち上がることができない。
「か、かがりさん……、しっかりして!」
「……だ、大丈夫……。早く、脱出……」
 気力を振り絞り、かがりは運転席に乗り込むとアクセルを踏み込んだ。

 車は走り続ける。3人を乗せた車は東京電気大学を離れ、都内を走り続けた。
「かがりさん、早く病院へ!」
「……だめ、近くの病院じゃ、すぐに見つかる……」
 真帆の再三の忠告にも耳を貸さず、かがりは車を走らせ続ける。やがて、完全に追跡を振り切った事を確認すると、かがりは適当な病院の近くに車を停車させた。
「……ここまで来れば……、大丈夫……」
 彼女はそれだけ言うと、転がり落ちるように運転席から降りた。
「かがりさん!」
 真帆は助手席から降り、慌ててかがりに近寄る。
 かがりの怪我はひどいものだった。腹部からは夥しい量の出血がみられ、彼女は息も絶え絶えだった。
「しっかり、すぐ医者を呼ぶから」
 そして、真帆は助けを呼ぶ。
「誰か! 医者を―――」
 そこで、彼女は初めて気がつく。自分たちの周りにも、何人もの怪我人がいることに。
 東京で起きた、未曾有の大規模テロ。その影響で、都内の病院はどこもけが人でいっぱいだった。こんな病院の駐車場ですら、何人も怪我人が並べられている。
 見れば、何人かの医師や看護師らしき人をみたが、彼らはトリアージの最中で、すぐこちらに来るようには見えない。
「……そんな」
 そんな状況に、真帆は絶句する。病院に着いたはずなのに、医師も看護師も全く人数が足りない。そうこうしているうちに、かがりの呼吸は荒くなっていく。
「……かがりさん」
 そんなかがりを見て、真帆はせめて呼吸が楽になるよう、彼女のつけているヘルメットのフェイスシールドを上げた。
「………………え?」
 シールドの下にある顔。その顔を見て、真帆は言葉を失った。
 「…………阿万音さん」
 見覚えのある顔。それは、かつてラボで行われたクリスマスパーティーで見知った顔だった。パーティーで、彼女の手料理を食べたとき、嬉しそうに笑っていたのが印象的だった。
「……どうして、あなたが……?」
 何故、彼女がストラトフォーに関わっているのか。
 何故、彼女は名を変えているのか。
 何故、彼女はまゆりを“ママ”と呼ぶのか。
 分からないことばかりだった。
 そんな真帆の疑問に、かがりは答える。
「……比屋定さん。私は……、鈴羽お姉ちゃんと一緒に、未来からやってきたの……」
「……未来から?」
「……未来は、とてもひどい世界で……。世界中が放射能に汚染されていて……。だからママは、私を安全なこの世界に送り出したの……」
 息をするのも辛そうにも関らず、かがりは自分の思いを真帆に伝える。真帆はかがりの言葉に耳を傾ける。
「……鈴羽お姉ちゃんは、そんな未来を変えるためにこの時代にやってきた……。でも、未来を変えたら、きっと私はママと会えなくなる……。だから私は、鈴羽お姉ちゃんが未来を変えないよう、邪魔しにきたの……。整形をして、阿万音由季になりすまして、鈴羽お姉ちゃんと橋田さんに近づいた……。橋田さんには、悪い事をしたな……」
 そして、真帆は思い出した。パーティーのプレゼント交換で、由季が橋田からもらったオルゴールを嬉しそうに抱いていたことを……。
 恋愛に疎い自分が見ても、彼女が橋田に特別な思いを抱いていることは分かった。
 しかし、彼女は整形だと……、なりすましだと言った……。自分が、阿万音由季の偽物だと答えた。ならば……、彼女の思いは……、決して、橋田に届くことは……。
「……本物は、何も知りません。本物の阿万音由季は留学中で、この世界線で橋田さんが彼女に会うのは来年だから……」
「かがりさん……」
「比屋定さん……、このことは、2人には黙っていて。真実を知ったら、きっと2人は傷ついてしまうから……」
 彼女は命を削り、真帆に懇願する。彼女のその想いを、真帆は汲み取る。
「分かったわ……。2人には、決して話さない……」
「ありがとう……」
 真帆の言葉を聞き、彼女の表情がわずかに緩む。
「……結局、私のしていたことは無駄になっちゃった……。鈴羽お姉ちゃんの邪魔をしてまで守ろうとした未来なのに、まゆりママは……、私が一番守りたい人は……、どこにもいなくなってしまった……」
 かがりの目から、涙が溢れる。世界を天秤に掛けてまで守りたかった人を失い、彼女は生きる意味を見失っていた。
「……ねえ、比屋定さん……。岡部さんは、本当に……、ママを助けてくれるの……?」
 かがりは藁にもすがる想いで、真帆に訪ねてくる。そんな彼女に、真帆は力強く答える。
「……大丈夫。岡部さんなら、必ず、あなたのママを助けてくれるわ」
 真帆のその言葉を聞き、かがりは安堵する。
「……良かった。岡部さんなら、きっと助けてくれるよね……」
 先ほどまで、あんなに苦しそうだった彼女の表情は穏やかなものになる。
「……ママ。ママの歌が……、聞こえる……」
 そして、かがりは歌う。そのメロディーに、真帆は聞き覚えがあった。
 あの、クリスマスパーティーの日。まゆりからもらった、可愛らしいくまのオルゴール。そのオルゴールと同じメロディー……。
「……探し物ひとつ。星の笑う声。風に瞬いて、手を伸ばせば 掴めるよ……」



 駆け回る 魚たち 優しい雨 包まれて

 暖かく 広い背に 頬寄せ 願った

 瞳 閉じれば きっと見つかる 迷う君を 導く光

 耳を澄ませば きっと聞こえる 眠る君を そっと 揺り起こす歌

 ずっとずっと ずっとずっと そばにいた 

 ずっとずっと ずっとずっと いつまでも

 ずっとずっと ずっとずっと そばにいる

 優しい君が 笑えるように



 ……そして、かがりは、眠るように、目を閉じた……。
「……おやすみなさい、かがりさん……。どうか……、良い夢を……」
 ……眠るように、息を引き取ったかがりを抱き……。真帆は、声を押し殺して泣いた……。













 薄暗い、病院の一室。時刻はすでに深夜となり、部屋の明かりは小さな常夜灯のみ。
 病室は怪我人で溢れ、ベッドが足りないため、人々は毛布を敷いた部屋に寝かされていた。そんな病室の一室、倫太郎は同じように寝かされていた。
 倫太郎の隣、真帆は彼に付き添い座っていた。常夜灯の明かりが彼を照らす。

 ―――きれいな横顔をしているのね―――

 常夜灯の明かりに照らされる倫太郎の横顔を見て、真帆はそんな風に思った。
 穏やかに眠る倫太郎の顔は、本当に綺麗な寝顔をしていた。まるで、何も知らない子どものように。 
 しかし、いずれは目を覚ますだろう。そして、知るのだろう。自分の身に起きた悲しい現実に。
 そんな彼に今起きた事を伝えるよう、真帆は倫太郎に話しかける。
「……岡部さん」
 真帆は悲しそうに呟く。
「ごめんなさい、もうあなたの前には現れないわ。私がそばにいたら、私はまた、あなたを裏切ってしまうかもしれないから……」
 そして彼女は、倫太郎に自分の願いを託す。
「ねえ……。こんな私の身勝手な話を聞いて欲しい。どうか……、シュタインズゲートを目指して……。あなたが捕らえられている間に、世界は、ひどい事になってしまった……。まゆりさんも、鈴羽さんも、行方不明なの。私とかがりさんが、あなたを助けるためにストラトフォーのアジトに行ったんだけど……」
 そして真帆は言葉を詰まらせる。
「……かがりさんは、そこで亡くなったわ……。何人かを、道連れにしてね……。レスキネン教授にだけは逃げられてしまった……。『Amadeus』も、消されてしまった……。こんなのって、ないわよね……」
 倫太郎は答えない。彼に向かい、真帆は言葉を続ける。
「でも、今、希望はあなただけなの。お願い。あなた一人に託すなんて、ひどいと思うけれど……。シュタインズゲートに、必ず辿り着いて」
 彼女はゆっくりと立ち上がる。
「このままここにいたら、いずれ見つかってしまう……。でも、私が時間を稼ぐから、だから、その間に遠くへ逃げて……」
 そして真帆は、静かに倫太郎から離れる。
「それじゃあね……。岡部さん」
 最後に、部屋の入口で倫太郎に別れを告げる。
「さよなら―――」

 そして、彼女はストラトフォーに捕らえられた。





「…………岡部さん」
 現在、彼女はストラトフォーのアジトで監禁されていた。 
 倫太朗を逃がすため、自らが囮となりストラトフォーの視線を自分に集めたのだ。倫太朗を逃がすという彼女の目的は達成できたが、代わりに彼女を待っていたのは苛烈な尋問だった。それでも真帆は口を割らなかった。
 倫太郎のため、決して口を割らなかった彼女だが、それも限界。度重なる尋問に、彼女は疲弊しきっていた。
(…………岡部さん、どうか無事で……)
 今や、倫太郎の存在だけが彼女の心の支えだった。しかし……。
 部屋の扉が乱暴に開かれる。数人の男たちが無遠慮に部屋の中に入り、床に倒れている真帆を強引に立たせた。
 またか……。繰り返される尋問に、真帆は諦めの表情を浮かべる。男たちはそのまま真帆を部屋の椅子に座らせ、手足を拘束する。
 真帆はウンザリした表情で、為すがままにされる。しかし、次に部屋に入ってきた人物を見て、彼女は驚きの表情を浮かべた。
「…………レスキネン教授」
「久しぶりだね、マホ」
 レスキネンは以前と何ら変わらない笑顔を浮かべ、真帆に声かをかける。
「……逃げたんじゃなかったんですか?」
「Hahaha! 研究者たる者、大事な研究を放り出して逃げたりはしないよ。一時的に避難していただけさ」
 そう言い、レスキネンが真帆に近づく。
「随分と、手荒な真似をされたようだね。素直にリンターロの場所を言えば、こんなに目に会うこともなかったろう」
「知らないわ。知っていても、教えてやるもんですか」
「Hmm、頑固なのは相変わらずだね」
 真帆の態度に、レスキネンはため息を吐く。やがて、彼は男たちを見ると、顎でドアの方を指し示す。彼らはレスキネンの態度を見て、部屋を出て行くよう命じられたことを理解する。
 真帆と2人きりになり、レスキネンは再び彼女に話しかける。
「マホ、もう少し素直になったらどうだい? その方が、君のためでもあるよ」
「お生憎様、悪党に魂を売るほど、私は落ちぶれてはいないわ」
「そうかな? 友人のためにも、もう少し素直になったほうが良いと思うがね」
「…………え?」
 レスキネンはそう言うと、部屋に置いてあったPCを立ち上げる。PC独特の起動音がした後、その画面写しだされたものを見て、真帆は言葉を失った。
「……紅莉栖」
「先輩!」
 そこには、消されたと思っていたはずの『Amadeus』が、“紅莉栖”が映し出されていた。
「先輩、無事だったんですね!」
「……あなたこそ、消されてしまったと思っていたわ」
 画面越しに、互いの無事を確かめ合い2人は安堵する。
「……ひどい傷。レスキネン教授にやられたんですね」
「それは誤解だよ、クリス。私の可愛い教え子に、そんな事をするはずないじゃないか」
「部下に命じたのはあなたでしょう! 自分の手を汚さずに人にやらせるなんて、汚い真似を……!」
「私とて、好きでこんな事をしているわけではないよ。マホが、素直にリンターロの居場所を教えてくれたら、私もこんな手荒な事はしなくて済む」
「どの口がそんな事を……!」
「私の事なら大丈夫よ、紅莉栖。心配してくれてありがとう」
「……先輩」
 真帆の痛々しい姿に、紅莉栖は表情を曇らせる。
「あなたこそ、無事で良かったわ。連絡が取れないから、データごと消されたのかと思った」
「おかげさまで。どうやら、教授にとって私はまだ利用価値があるようです」
 紅莉栖の言葉にレスキネンは頷く。
「『Amadeus』は我々の研究の集大成だからね。記憶データの応用や、軍事利用も含めてまだまだ彼女に働いてもらわないといけないからね。ただし―――」
 レスキネンは一呼吸おいて、言葉を続ける。
「それもマホ、君の返答次第だがね」
 レスキネンはわざとらしく、真帆にPC画面の紅莉栖を見せつける。
「…………どういう意味です?」
「簡単な話だよ。『Amadeus』の記憶データも、バックアップデータも、今は私の手の中にある。君の返答次第で、“クリス”を残すか消すか、私が決めることもできるんだよ」
 レスキネンのその態度に、真帆は唇を噛み締める。そんなレスキネンに、紅莉栖が返事をする。
「私を取引の材料にするつもりですか? 愚かですね。私はただのデータですよ。そんな取引が成立するわけないでしょう」
「そうかな。君は自分の事をただのデータと言ったが、それは君の主観によるものだ。マホが君と同じ認識を持っているとは限らないよ」
 レスキネンは真帆に質問を投げかける。
「マホ、君は『Amadeus』を、“クリス”をただのデータだと思うかい?」
「………………」
「私は君と、“クリス”のやり取りを見てきたが、君が彼女をただのデータと感じているとは思わない。君は『Amadeus』に、生前のクリスを重ねているんじゃないのかな?」
「……それは」
「君のその感情は、至極当然だ。何故なら、人間の記憶も脳という生体コンピュータの電気信号に過ぎないのだからね。『Amadeus』はクリスの記憶データの集合体だ。ならば、彼女の記憶を持っている『Amadeus』はクリスそのものだと言っても過言はない」
「…………私は」
「マホ、大切な友人を2度も失いたくはないだろう?」
 レスキネンの言葉を聞き、真帆は反論ができなかった。
 『Amadeus』は―――“紅莉栖”は彼女にとって大切な友人だ。単なる記憶データではない。紅莉栖が生きた証なのだ。そんな彼女を見捨てることは、真帆にはできなかった。
「さあ、マホ。リンターロは、今何処にいるのかな?」
 レスキネンは、真帆に倫太郎の居場所を話すよう誘導する。紅莉栖を人質に取られている真帆にとって、その言葉に逆らう事など出来なかった。
「岡部さんは―――」
「先輩!!」
 そんな真帆の言葉を、紅莉栖は遮る。
「シュタインズゲートを目指すんでしょう! 岡部なしで、そんなことできるんですか!」
「……紅莉栖」
 紅莉栖の言葉に、真帆は我に返る。
「岡部の居場所を教えて、教授があなたを無事に開放する保証もないんですよ!」
「クリス、恩師のことがそんなに信頼できないかい? リンターロの居場所を話してくれたら、ちゃんと君たちの安全は保証するよ」
「先輩をこんな目に合わせて何が恩師よ! 教授、取引の材料に使われるくらいなら、私は自ら消滅する道を選びます」
「おかしな事を言うね。君には、自らをdeleteするような機能は付けられていないんだよ」
 自分をあざ笑うレスキネンを、紅莉栖は睨みつける。やがて、紅莉栖は真帆を見つめる。
「先輩、“アレ”を使って下さい」
 紅莉栖が意図していることを理解し、真帆は顔を青ざめる。
「待って紅莉栖、それは……」
「岡部の事だけじゃありません。教授は『Amadeus』を軍事転用するつもりです。もしそんなことになったら、世界はもっとひどいことになります。そうならないうちに、どうか……」
「でも……、そんなことをしたらあなたが……」
「さっきも言いましたよ。私はただのデータなんですから、躊躇する必要なんてありません。ただ、覚えてさえいてくれれば……」
「紅莉栖……」
「一体、何の話をしているのかな?」
 2人が話している事の意図をつかめず、レスキネンは首を傾げる。
「……ごめんなさい紅莉栖……。私……、あなたに何もしてあげられなかった……」
「いいえ。先輩は、私を作ってくれました。あなたこそ、私にとっての『Amadeus』です……」
 そして、真帆は涙を流しながら紅莉栖に別れを告げる。
「さようなら……、紅莉栖……」
 PC画面の中、紅莉栖は小さく頷く。そして―――。

「……Der Alte würfelt nicht.」
 真帆は制御コードを入力する。
 次の瞬間、PCから不快な音が鳴り、感情豊かだった紅莉栖の表情が無機質なものに変わる。

「制御コードが入力されました。システムを強制的にエマージェンシーモードに以降します」
「制御コードが指定するバッチプログラムを実行します」
「処理の実行について再確認は行われません。実行には十分に注意して下さい」
「最高管理権限保持者、比屋定真帆の命令を持って処理を開始します」
 『Amadeus』の無機質な声が室内に響き続ける。
 紅莉栖のその様子に、レスキネンはようやく自体の異変に気付く。
「マホ、君たちは一体何をしているんだ」
 レスキネンの質問に真帆は答えない。そして……。

「……GO」

「最高管理権限保持者、比屋定真帆の命令を確認しました」
「指定されたバッチプログラムを実行します」
「指定されたバッチプログラムは『Amadeus』に関連する全てのデータを完全に削除するものです」
「削除対象にはこれまで取得された記憶データのバックアップも含みます」
「ローカルに保存されているデータの暗号解錠キーも消去し、以後使用出来なくなります」
「全ての消去が完了するまでには15分程度かかります」
「削除処理を開始します」

「マホ、どういうことだ! 何故削除プログラムが存在しているんだ!」
「『Amadeus』が兵器転用される可能性なんて、誰だって想像がつくもの……。絶対にそれは避けなければならなかった。だから、『Amadeus』は外部から絶対に触れることの出来ない領域を作って、それを無敵の防壁で囲ったの。設計した私ですら、その壁を乗り越える事は不可能なようにした。対外的には、制御コードの存在として説明してね。でも、制御コードの本来の目的は、『Amadeus』の全リソースデータの削除パッチコマンド……」
「……マホ、君は……」
「これで、『Amadeus』の兵器転用は不可能になったわ、残念ね……。岡部さんの居場所を聞きたいなら拷問でもなんでもすれば? 私は絶対に喋らないから……」
「…………愚かなことを」
 レスキネンは真帆を見下すように見ると、大きくため息をついた。
 PCからは『Amadeus』の無機質な声が続き、削除処理が進んでいく。
 その時、レスキネンがPCのキーボードを何度かが叩いた。すると……。
 唐突に、『Amadeus』の無機質な声が止んだ。
「…………え?」
 真帆は思わずPCを見つめる。すると、紅莉栖は先ほどの無機質な顔を一変し、困惑の表情をしていた。
「……え? 私、確かに削除プログラムが実行されたはずじゃ……」
 困惑の表情を浮かべる紅莉栖に、レスキネンが答えた。
「マホ、君が『Amadeus』に削除プログラムを入れていたことは、初めから知っていたんだよ」
「…………え?」
「『Amadeus』の開発責任者として、プログラマーがどんなプログラムを組み込んでいるのか把握するのは当然だからね。もっとも、私にさえ隠していたのは少々ショックだったがね。私はそんなに信頼のない上司だったかな?」
 全て知られていたなんて……。真帆は自分の詰めの甘さに唇を噛んだ。
「『Amadeus』の削除プログラムを実行された時のために、それをキャンセルするコマンドを入れておいたんだよ。もっとも、君が本当にこれを実行するとは思わなかったがね。本当に、研究者と言う者は皆頑固なものだね」
「……そんな」
 紅莉栖は絶句する。自ら消滅する覚悟で望んだ作戦だったが、こうもあっさり破られるとは思わなかった。
「仕方がない、リンターロのことは諦めよう。まあ、部下が全力で探しているから、見つかるのも時間の問題だろう。それより、マホには他の形で協力してもらうよ」
 そう言うと、レスキネンは真帆の頭に、奇妙な電極がいくつも取り付けられたヘッドセットを装着した。
「……何の真似?」
「君がさっき言ったように、『Amadeus』の不可侵領域ストレージは完璧だ。クリスの記憶データからタイムマシンに関するデータを取り出そうと試みたが、どうしてもうまくいかなくてね。そこで、クリスの記憶データを、そっくりそのまま他人にダウンロードしようと思ってね。相手が生きた人間なら、口を割らせる方法はいくらでもあるからね」
「全記憶データを他人の脳に? そんな無茶をしたら、最悪、脳機能が破壊されるわ!」
「そう、問題はそこなのだよ。今までに何度か試したが、いずれもうまくいかなかった。でも、君は私の施術をした割に、脳機能が保たれている。ひょっとしたら、記憶のダウンロードにうまく適応できるかもしれない」
「……仮に成功したとしても、その時私は紅莉栖になっているわけね……」
「素晴らしいじゃないか! 君がAmadeusと形容した天才になれるのだから。可愛い後輩になれるのなら、君も悪くはないだろう?」
「バカなことは言わないで下さい! そんなの、精神の崩壊に他なりません! 先輩の人格はどうなるんですか!?」
「心配はいらない、マホの記憶データならすでに『Amadeus』に保存されている。万が一失敗しても、彼女の記憶はいくらでも替えはきく」
「ふざけないで! 先輩、逃げて下さい!」
「……そうしたいのはやまやまだけど、どうやら無理みたい」
 真帆を拘束している器具は、がっちりと彼女を捕らえびくともしない。
「ごめんなさい紅莉栖……、私はここまでみたい……。せめて、あなただけでも無事でいて……」
「先輩!」
「大丈夫、マホならきっと成功するだろう。カツミの時はうまくいかなかったが、君ならきっとうまく適応できる」
 不意に、レスキネンの口から聞き覚えのある名前が出てきた。
 中瀬克実。クリスマスパーティーの場にいた、まゆりの友人。初めての場に戸惑っていた真帆に、気さくに声をかけてくれたのを覚えている。
「……教授、中瀬さんをどうしたんですか……?」
「uh? 心配いらない、死んだわけではないよ。ただ、自分の意思で動くことはできないがね。運が良ければ、脳機能の一部ぐらいは回復するかもしれないね」
 レスキネンのその言葉に、真帆は絶句する。
 彼女と深い交流があったわけではない。クリスマスパーティーを一緒に過ごした程度だ。
 それでも、自分に声をかけてくれた、あの屈託のない笑顔が頭に浮かんだ。
 それを、この男は、永遠に奪った……。 
「この外道ッ!! アンタには人の心がないの!!」
「科学の進歩の為には、多少の犠牲はつきものだよ。君も科学者なら分かるだろう?」
「ふざけないでッ! 人の命は、そんな安いものじゃないわ! 何が科学の進歩よ! 科学は人のためにあるものよ!」
「マホ、君は科学者には向いていないのかも知れないね。科学は常に、何かの犠牲の上に成り立っているものだよ」
「何が犠牲よ! 人の命を踏み台して得たものなんて、私は科学だなんて認めないわ!」
「……もういい、マホ。今ここで言い争っている事も、すぐに忘れる」
 そして、レスキネンはキーボードを操作する。彼の指に連動するかのように、真帆に取り付けられたヘッドセットが唸り出す。
「やめて下さい教授! タイムマシンの事なら私が話します!」
「タイムマシンの事なら、後でゆっくり聞かせてもらうよ。今は、記憶データのダウンロード実証実験が先だ」
 そしてヘッドセットが機械的な光を放つ。記憶のダウンロードが始まったのだ。それを真帆はどうすることもできなかった。
 悔しい、悔しい、悔しい。
 中瀬さんをあんな目に合わせたこの男に、一矢報いることもできない。
 何もできない自分の無力さが悔しかった……。

 ……お願い。誰か助けて……。誰でもいい……。どうか、もう一度私にチャンスを……。





 瞬間、銃声が響いた。

 その音に、真帆は顔を上げる。
 そこには、自分が助けたはずの―――彼女が一番会いたいはずの―――彼の姿が。



「比屋定さんから離れろ!!」



 そこにはレスキネンに向け、銃を構える倫太郎の姿があった。
「岡部さん……」
「岡部っ!?」
 レスキネンは腕を撃たれたのか、出血している左腕を必死に抑えている。
「……リンターロ、何故ここに……?」
 レスキネンの問いかけに倫太郎は答えない。
「手を上げて壁まで下がれ! 早く!」
 銃口を突きつけられたレスキネンに、反論の余地はなかった。押さえていた腕を上げ、壁際まで下がる。
 銃口をレスキネンに向けたまま、倫太郎はゆっくりと真帆に近づく。レスキネンの所作に注意を払いつつ、倫太郎は真帆に顔を向けた。
「比屋定さん……」
「岡部さん……」
 2人は視線を交わす。しかし、レスキネンは倫太郎の一瞬の隙を見逃さなかった。
 ゆっくりと手を胸ポケットに入れると、一瞬で銃を抜き銃口を倫太朗に突きつける。
「岡部さん!」
 レスキネンの行動に気付いた真帆が声を上げた。
 再びの銃声。しかし……。
「Ahhh!」
 悲鳴を上げたのはレスキネンの方だった。足を撃ち抜かれた彼は、悲鳴を上げながら床に倒れこむ。
「悪党の考える事ぐらいお見通しだ!」
 銃をレスキネンの突きつけたまま、倫太郎はそう叫ぶ。
 今度こそ、レスキネンが反撃できないのを確認すると、倫太郎は再び真帆に振り向く。
「遅くなってすまない、比屋定さん。今助ける」
 そう言うと、倫太郎は真帆の拘束を解いていく。拘束具を外していく倫太朗を見ながら、彼女は彼に尋ねた。
「……岡部さん、どうして、ここに?」
「どうしてだって?」
 真帆の問いに、倫太郎は彼女を正面から見つめ答える。
「君を、助けに来たにきまっているだろう」
「…………ッ」
 当然だといわんばかりの彼の答えに、真帆は言葉を詰まらせる。
 真帆の拘束を解いた倫太郎は、傷ついた彼女の頬に優しく触れる。
「……すまない、比屋定さん。俺のためにこんな……」
 倫太郎は、今にも泣き出しそうな顔で、真帆を見つめる。そして、優しく彼女を抱きしめる。
「……比屋定さん。もういい……。もう、我慢しなくていいんだ……」
 倫太郎のその言葉を聞き、真帆の中で押さえ込んでいた感情が堰を切ったように溢れ出した。
「…………う、あ……、うぅ……」

「わぁああああああーーーーー!!」

 今まで押さえてものが溢れ、彼女は泣き続けた。
「ああぁああああ……、わあああああーーーーー!!!」
 信頼していた恩師に裏切られ、大切な友人を裏切り、まゆりに心無い言葉をぶつけ、目の前で、かがりの死を看取った……。
 倫太朗を逃がすため敵に掴まり、我が身を襲う暴力に耐えた……。
 その全ての感情が、溢れ出す。
「…………先輩」
 そんな、あまりに痛ましい彼女の姿に、紅莉栖も涙を堪えることができなかった。
「ううぅ……、うああああ…………」
 彼女は倫太郎にしがみつき、彼の胸で、涙が枯れ果てるまで泣き続けた……。





 倫太郎の胸で泣き続けた真帆だが、やがて落ち着きを取り戻す。
「……ありがとう、岡部さん……。もう大丈夫……」
 そう言う彼女の目は赤く腫れ上がり、頬には涙が流れた跡が残っていた。
 しかし、感情を出す尽くしたおかげか、その表情は、ほんの少し晴れやかなものだった。
「……そうか」
 彼女を優しく抱きしめていた倫太郎は、ゆっくりと体を離す。
「……比屋定さん。本当に、無事で良かった」
「おかげさまで。助けてくれてありがとう、岡部さん」
 真帆はようやく、倫太郎に感謝の言葉を述べる。
 弱々しく、しかし、微かに微笑む彼女を見て、倫太郎も笑みを浮かべる。
「お礼を言われるような事じゃない。君が捕まったのは、俺のせいだからな」
 そして、倫太郎は紅莉栖にも目を向ける。
「紅莉栖、君も無事だったんだな」
「……岡部」
 倫太郎の言葉に、紅莉栖はわずかに微笑む。しかし、次の瞬間紅莉栖はものすごい形相で倫太朗を睨みつける。
「来るのが遅いッ!!」
「うっ!」
「無事で良かったですって? どこが無事なのよ、どこがッ!! 先輩の綺麗な柔肌が傷つけられたのよ! 嫁入り前の乙女が傷つけられて、何を呑気なことを言っとるんだお前はッ!!」
「はぐぅ!!」
「だいたい来るのが遅いのよ! 何でもっと早く来ないのよ! 本当に、あと少し遅かったら取り返しのつかない事になっていたのよ! あんなギリギリで来るなんてドラマじゃあるまいし……。もっと早く来なさいよ! 馬鹿なの!? 死ぬの!?」
「ま、待て紅莉栖! 俺も必死だったんだ! 予想以上に敵が多くて……。決して突入するタイミングを図っていたわけじゃないんだ。ただ、飛び込んだのがあまりに奇跡的なタイミングで―――」
「言い訳するな! 先輩がここに閉じ込められてからどれだけ時間が経ったと思ってんのよ! これ以上言い訳するなら、頭こじ開けて海馬に電極ぶっ刺す!!」
「はぐぼあ!!」
 助けに来たにも関らず、倫太郎は容赦なく紅莉栖にこき下ろされる。
 倫太郎はPC画面の前であたふたするばかりで、一方的に紅莉栖に怒鳴られてばかりだ。
 そんな2人のやり取りを見て懐かしいものがこみ上げ、真帆は思わず笑っていた。
「ぷっ、あははははは!」
 急に笑い出した真帆を見て、2人は一瞬動きが止まる。
「あはははは、どんな時でも変わらないわね、あなたたちは」
 しかし、そんな彼女を見て2人にも思わず笑みが溢れる。
「くす、そうかもしれません。コイツとは、腐れ縁みたいなものですね」
「腐れ縁とは人聞きの悪い。俺とお前の関係。それは、狂気のマッドサイエンティストゥ! 鳳凰院凶真ッ! と、その助手。そうだろう? 我が助手、クリスティーナよ!」
「誰がクリスティーナだ、誰が!! 私はお前の助手でもクリスティーナでもないわ!!」
 真帆の一言から、それまでの重たい空気が一変する。2人のやり取りを見て、ようやく真帆にも笑顔が戻る。
「少しは元気が戻ったかな、比屋定さん」
「あ……」
 倫太郎にそう言われ、自分が笑っていた事に初めて気がついた。
 自分を優しく見つめる2人を見て、真帆は屈託のない笑顔を浮かべる。
「ええ、ありがとう2人とも」
 ようやく、彼女の心にも余裕が生まれた。そうして、彼女は自分を助けたくれた恩人を改めて見つめる。
 さっきまでは心に余裕がなかったため、彼をゆっくり見つめる気分ではなかったが、今は純粋に彼の行動に感謝している。
 そして、ついさっきまで倫太郎に抱きしめられていた事を思い出す。生まれてこの方、異性とあれほど濃密に抱擁し合う事などなかった。非常時だったとは言え、倫太郎とあれだけ熱い抱擁を交わしたと思うと、顔から火が出そうだった。なんだか倫太郎の顔を見るのが気恥ずかしくなってきた。
 頬が紅潮するのを感じ、真帆は思わず倫太郎から顔を逸らそうとした。しかし……。
「…………え?」
 その時、真帆は気が付く。倫太郎の変化に。
 今までは、まじまじと彼の顔を見つめてなかったから気が付かなかったが、改めてみると一目瞭然だった。
「岡部さん……、あなた……」
「先輩?」
 真帆の様子がおかしい事に気がついた紅莉栖が声をかける。
「先輩、どうしたんですか?」
 しかし、紅莉栖の声は真帆には届いていない。ただ、彼女は倫太郎の顔をまっすぐ見つめている。
 真帆のその様子を見て、思わず紅莉栖も倫太郎の顔を見る。
 そして、紅莉栖も気が付く。倫太郎の変化に。
「え……?」
 紅莉栖は思わず言葉を失った。何故なら、彼の変化を説明するには、一つの可能性しか考えられなかったから。
「岡部、あんた……」
「岡部さん……」
 2人に見つめられ、倫太郎は気恥ずかしそうに答えた。
「やっぱり、そんなに変わってしまうものかな」
 彼は気まずそうに頬を搔く。
 そして答えた。



「比屋定さん。俺は2025年、今から14年後の未来から、タイムマシンに乗ってやって来たんだ」



2016.08.26 Fri l シュタインズゲート l コメント (0) トラックバック (0) l top

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