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ノリと勢いで作ったら変なのができた。
お箸ハアハア、お箸!!




 華やかな灯りが優しく光を放ち、食堂を明るく照らしている。テーブルには美しく盛られた贅沢な晩餐の数々が、見る者の目すら潤すように並べられている。そこは、普段は決して響くことのない優しい笑い声に満ちていた。
 親族会議の日に行われる夕食は、誰もが腹の探り合いをしながら行われるため、毎年ギスギスした雰囲気で食事が終わる。しかし今年は違った。
 誰もが用意された晩餐に舌鼓し、明るい笑い声が響きあい、皆和やかな雰囲気で食事をしていた。それは、今日ふいに島に訪れた客、古戸ヱリカのおかげだった。
 不幸にも海を漂流していた客人をもてなそうと、親族は努めて明るい話題を彼女に提供しようとしていた。だが余計な心配は無用だった。彼女は大変な事故にあったとは思えない程落ち着きを払い、親族顔負けのテーブルマナーを嗜んでいた。また、親族たちの気持ちをくみ取り、時に笑顔で頷き、時にユーモアの溢れる切り返しで場を和ませていた。
「不思議な子ですね。右代宮家の、一年間でもっとも豪華な晩餐を前に、何も取り乱さないとは」
「最近の子は肝が据わってるわ。…嫌いじゃないわ、そういうの」
「古戸さんは、こういう食事はなれているのですか…? 大した落ち着きようだ」
「ホンマやなぁ。ずいぶんと手慣れたもんや。わしなんか、未だに次はどのフォークを使えばいいんか混乱するんやで。あー…、こっちやったか、それともこっちやったか…。わはははっ!」
「外側から順に使うだけですし。面倒だったら、お箸を頼めばいいんです。日本人ならお箸です」
「お箸はいいですよっ。これ一膳あれば、どんな料理でも対処デキマス!」
 お箸の話になった途端に、目をキラキラさせだす。
 ……さっきまでの貫録とは程遠い、初めて見せた歳相応な笑顔だった。
「くすくす。カレーライスはさすがにスプーンでしょ?」
「ドンブリに盛ればいいんですっ。牛丼をスプーンで食べる人いますか? いませんよねっ! 日本人なら断じて絶対徹頭徹尾、お箸ですっ! というわけで郷田さん。すみませんがお箸をお願いします。私が日本人として、恥ずかしくない食べ方をご覧に入れて見せましょう!」
「……ところで、次のお料理は何ですか?」
「それが困ったことに、次はスープでございまして」
 ヱリカは肩を竦める真似をしながら、一同にウィンクしてみせる。
「「「わっははははははははははははははは…!!」」」






「それにしても、ホント、アンタって呆れるくらい箸が好きね」
「もちろんです! お箸は世界でもっとも優雅な食器です。突き刺し、引きちぎって口に運ぶナイフとフォークなんて野蛮の極み! お箸こそが最高です!!」
「……そんなものかしら?」
「もちろんです。お箸こそ人類の叡智! 日本人ならお箸ですよ! ヱリカは日本人に生まれて本当に良かったです!!」
「……ふ~ん、良かったわね」
「はい! 私を日本人に生んでくれてありがとうございます、我が主!!」
「そう、なら良かったわ。ところでヱリカ、アンタにひとつ言い忘れていたことがあったんだけど……」
「はい、なんでしょうか?」
「アンタ、本当は日本人じゃないのよ」



「えッ!!!!?!?」



続く!!



2010.07.25 Sun l うみねこ l コメント (0) トラックバック (0) l top

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